若葉

ハンモックに揺られながら、桜吹雪を眺めていた。標高の高い我が家は今日が桜の盛り。いつも何か得した気分になる。毎年都内で花見のどんちゃんを楽しんでいるけれど、結局、春風と花吹雪の中でぶらぶらしているのが最高なんだよね。となりの坊やはぐっすり昼寝中。Mimoza6
きょうはこれだけで十分とつらつら本を読んでいたら、家人はやっぱりやってきた。「夕食どうするつもり」。「はあ、まだ日本酒はあるよ」と答えれば、「つまみはどうすんのよ、はやく起きて」だって。気配を察知して、坊やもしぶしぶ起き上がった。

行く場所は決まっている。裏山の藪の中。けもの道ならぬママ道をアズマネザサの枝を掻き分け歩いていくと、今年もタラの木(上)は天にまっすぐ伸びている。すぐ横にはハリギリ(中)、ちょっとはなれた日当たりのよい場所にはカラスザンショウ(下)も……。

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「はい、タラの芽なんとかしてよね」と家人はとげだらけの木のてっぺんから伸びる芽を指差し、なぜか傘を一本。ふむ、取っ手を木にひっかけて少し曲げてやると、上の斜面から何とかもぎ取れた。もちろん、全部芽をとったら枯れてしまうので、来年の楽しみも残しておく。ハリギリとカラスザンショウはできるだけ若い芽を選んで取れるだけ。

夜、若葉の天麩羅で一杯やりながら考える。いつもほんとに家人の食欲には感心するし、春の若葉の味の良さも文句なしだ。でも……。これがほろ苦さってやつかな。

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月とミモザ

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 二日酔いの朝は年々つらくなっていく。朝飯が食べられないだけなら、ましな方。酔い覚ましのお茶を飲みながら、昨晩あったことを思い出してみる。あいつと飲んで、気分がよくなって、何軒かはしごをしたっけ。そして、家の前でタクシーを降りて……。ん? どこからタクシーに乗ったの?
 
 いい年をして何をやっているのかとしょっちゅう言われているけれど、まっ、こんなもんでしょ。今こうしている自分が一体どこから来たのかなんて考えずに、たいていはいるべき場所に戻れるわけだし、これからも多分うまく過ごしていける。でも、本当に自分はどこから来てどこに行く途中だったのか。そういえば最近は考えることさえない。
 
 同じ仕事をしてきた友人がまもなくやめる。大学時代、初めて会ったときから同業になる予感はしていた。向こうは世界を股に駆けての大仕事。こちらは街ネタ一本やり。考え方もまるで違うけれど、「満足している奴が嫌い」なのは同じ……。だからかな?
 
 うまく過ごしていけるのが、時にたまらなく嫌になる。そんな時、あいつは目をそむけてはいけない何かを見てしまったのだろう。
 
 月とミモザ。まだ骨にしみる寒さの中、花はやけに凛としている。

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春の雪

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「ふきのとう採りに行こう」。家人がこう言い出した時はさすがに驚いた。久しぶりの大雪。標高の高い我が家の辺りは20センチは積もっている。先日空き地で見つけたのがそろそろ食べごろというが、こんな日に誰かに先を越されるはずもないのに。

見事な降りっぷり。空き地は雪が下草に持ち上げられて膝下まで積もっている。家人はそんなことお構いなしにザクザク足を踏み入れていく。雪をかきわけてしばらくするとその手にはふきのとうが……。今年の寒さは厳しいのに春の使者はみずみずしい緑を放ち、ぷっくりと太っている。 「おいしそうでしょ?」と満足げに話す家人に雪玉を一発お見舞い。あとは坊やも参加して、犬も食わない夫婦雪合戦。

それにしても、雪の休日は家人と坊や以外の人を見かけたことがない。住んでいる場所が原因なのだろうけれど、いつもよりずっと濃密な家族の時間。白い世界にあたたかく包まれて、額縁の中に入れられたような気分になる。

収穫はもちろん、晩のメーンに。そのまま天ぷらにするのもよいけれど、白味噌とモッツァレラチーズをつめて揚げてみた。チーズと味噌のこくで花芽の苦味が和らいで、よりさわやかな春の味わいに。「オニは外、福は内」と声を張り上げる坊やを眺めながら、ぬる燗で一杯。雪の立春。白い一日。

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あけましておめでとうございます

Kurikinnton

みなさま、新年おめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

スローライフといいますが、スローになるのはブログの更新だけ?
でも、手間がかかるからスローは楽しいわけで……。
証拠はご覧の栗きんとん。混じりっ気一つない裏山の柴栗100%を箸にとれば、こっくりとした甘みは上等な和菓子のよう。生まれてこの方、芋きんとんしか味わったことのない私は、目からうろこが落ちた思いでしたよ。
拾って、皮をむいて、煮て、漉す。その味に驚く私に、「どうだ」と自慢げな家人。
今年もカカア天下、それもまた楽し。

我が家の遊び暮らし、今年も笑っていただければ幸いです
皆様のご多幸をお祈りいたします。

2008.1.1
Wildlife,Wildwife & Boy A

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Merry X’mas

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今でこそ家人とこんな生活をしているが、子どものころは団地住まい。花を植えたり、果実を育てたりすることには縁がなかった。ところが一本、樅の木だけはあったんだな。やたら大きな植木鉢で育てて、年に一度、派手に飾る時はとにかく胸が高鳴った。クリスマスまでしばらくの間、わくわくした気分で過ごしたものだった。だから、背が高くなりすぎて団地の空きスペースに植え替えることになった時は、ひどくさびしい気分だった。今は見上げるような大木になって、飾りつけられることもないのかな。

クリスマスツリー。そんな思い出が新しい木を買うのをためらわせるので、我が家は森の装飾品で代用。枝ぶりのよい落木にドングリやヤシャブシでかたどった星、そしてカラスウリのランプ。市販のイルミネーションを少しまきつければ、渋いでしょう。長い間見ていないあの木にも、こんなカラスウリが巻きついていたら楽しいね。

「早くカメラやめてよ、サンタさんにあげるジンジャークッキーをつけなきゃいけないんだから」。おやおや坊や、きょうは本当に真剣だね。大丈夫。こんな変わったツリーなら必ずサンタさんも気づいてくれる。あしたの朝のお楽しみ。

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