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Wild Strawberry

wildstrawberry
 
 
 
 
 
 
 
 「ほら、またあったよ」。坊やが夢中で庭の茂みを探って、赤い実を摘んでいる。すると隣のご夫人がやってきて、低い花壇越しに「こっちにもあるわよ、どうぞ」。坊やは大喜びで隣の草むらに乗り込んでいく。
 ワイルドストロベリー。新築祝いかなんかでもらった株が、いつの間にか庭中に広がって、後から建ったお隣にまではびこっている。ハゴロモジャスミンのさわやかな香りに包まれた庭でイチゴ摘み。自分も子どものころにやってみたかったなんて思いながら、休日は過ぎていく。
 葉っぱの陰に隠れた赤い実は小さいけれど、口にすると程よい甘さと香り。市販のイチゴに負けない味わいだ。最近は我が家に遊びに来る子どもたちも在りかを覚えて、草むらをまさぐっている。家に戻れば、口の周りはまっかっか。採り過ぎたと思ったのか「また来年もできるかな」なんて心配そうに話す子も。
 大丈夫。本当に繁殖力が強いから、来年はお隣の裏の山にも広がって、もっと楽しめるかもね。

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ヒガシカワトンボ

higashikawatonbo

 谷戸にトンボが目立ち始めた。ヒガシカワトンボ。ひらひらと優雅に飛ぶ姿が美しく、何度見ても飽きることがない。赤茶の羽を持つものや、金属的な緑、青の胴体を持つものなど姿も様々。水辺の草むらを舞うと、時折、宝石のようにキラリ鋭い光を放つ。 
 谷戸のシンボルのような生物だ。ヤゴとして水中で過ごす日々は、おたまじゃくしなどをエサにする。成虫になって水を出ると、草むらの虫などを捕食。そして、産卵の時は再び水辺に戻る。湧き水のある谷戸だからこそ、こうした命のサイクルが成り立つ。逆にこのトンボがいなくなったら、谷戸の生命も尽きてしまうのだろう。
 「トンボさんにぐるぐるしよう」と、坊やは懸命にトンボを追いかけている。ところが、しばらくすると「パパ、顔をあれってやらないよ?」。アキアカネなどは指をぐるぐる回すと、顔を不思議そうにひねって羽を寝かせてしまうのだが、カワトンボには効かないらしい。坊やは仕方なく、「留まってよぉ」と指を水辺に伸ばして待っている。
 

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みょうがたけ

myougatake

 食べ過ぎると物忘れをするなんて言うけれど、それでも食べたい初夏の味。
 みょうがたけ。八百屋で見かけるミョウガは花茎だが、こちらは新芽で、この時期になると、草原にタケノコのようにぼうぼう生えてくる。今日も谷戸を歩いていると、あるはあるは…。坊やと夕食用にたっぷり摘んできた。
 食べ方は生のまま刻んで、しょうゆをまわしかけるだけ。豆腐などの薬味に使うのも良いけれど、ご飯にたっぷりのっけて、がっつくのが一押しだね。みょうがより香りが柔らかい上、みずみずしい甘みが感じられ、とてもさわやか。ご飯が止まらなくなるのが難点かな。コールスローサラダに混ぜたら、これもきりっとした風味が加わっていける。
 一生懸命摘んだのに、坊やは少々不満そう。さすがに4歳の口には合わないようで、「これまずいよ。もう摘まないで」なんて怒っている。大人の味だからね。ちょっとだけ見つけたキクラゲは、君に全部あげるよ。

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石切り場へ

ishikiri

 「早くお弁当作ってお山に行こうよ」
 坊やは朝から気もそぞろ。昨日新調したお弁当箱が使いたくてしょうがないらしい。早速、おにぎりと玉子焼きを桐箱に詰めて谷戸歩き。
 驚くほどの緑の濃さだ。藤やヤブデマリは今が盛りと、可憐な花を咲かせている。桐の花を探してヤブに分け入ると、あとは迷路の続くがまま。坊やは小さい体を生かしてすいすい進んでいく。
 突然頭上に橋が現れた。苔むしているが、きれいにつみあがった石垣の上に幅広の板が並んでいる。上に登れば板はすっかり腐っていて、何年も人が渡った気配はない。
 かつて辺りに石切り場があったと聞くから、運搬路だろうか。ヤブの緑に埋もれた遺物は、山のはるか昔に誘う道しるべ。木漏れ日のけもの道を、さらに奥へ分け入っていく。
 
 

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