すもも狩り
ようやく梅雨が明け、久しぶりに過ごす青空の庭。すらり天に伸びる幹には紅の果実がたわわに実る。家人は2年越しのすもも狩りの夢をかなえたらしい。口に含めば甘酸っぱい香りが脳に突き抜けた。坊や、ようやく我が家に戻って来たよ。
本当にひどい梅雨だった。湿気のためか毛虫が大発生して、一時はバラもリンゴの木も無残な姿に。わずかな休みの日は雨が降り、出張続きの親父はノビていただけ。3ヶ月ぶりに床屋にいけば、ボサボサぶりを「まるでサボテン」と笑われた。
どんな長梅雨もいつかは明ける。庭の緑は復活し、髪だって切れば元に戻る。時が過ぎれば折り合いがつくのが自然。なのに「なぜオレの仕事は明日も続くのか」。家人に問えば、「稼げるうちが花よ」とばっさり。こちらの果実は、いつなるのやら。
たっぷり採ったすももの実を、坊やは神妙な表情で生地にきれいに盛り付けた。すももパイ。焼きたての熱々をほおばって「甘酸っぱいね ぇ」だって。君もそんな味がわかるようになったか。ちょっと生意気。夏の風が駆けていく。
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