木蓮のランプ
ご機嫌斜めな春が続いている。寒くなったり、暖かくなったり。雨も強く降ったかと思えば、突然雲間から日が差して、濡れそぼった満開のミモザが一瞬輝く。「毎年こんな感じだっけ?」。休日に外に出られず、やはり機嫌の悪い私に家人は素知らぬふり。黙々とアケビのつるを、枝に絡み付けている。
木蓮のランプ。先日散歩中に拾った剪定された枝を庭のバケツに生けていたら、数輪の花が咲いた。といって、このまま木に育つわけでもないから、一夜の飾りつけをしてやりたいのだという。夕刻前には完成して、灯してみればこんな具合。ランプは一つだけなのに、ろうそくのような花それぞれが暖かな色を放ちだす。まさに生命力。壁に映る影もよい感じ。
わからないのは剪定をした理由だ。これからが見ごろなのに、春の息吹をあっさり切り捨てるとは。雪も降らない生ぬるい暖冬は、人の心に春が来ることさえ忘れさせるのか。もちろん、切ってくれたおかげで、こちらは楽しみが増えたのだから、文句を言うこともないが……。
花ランプを眺めて燗酒をなめていると、強烈な潮の香りが漂ってきた。自家製のハバのり。ちぎって口に放り込めば、機嫌の悪さはどこへやら。家人の連れてきた春に酔っている。
木蓮の花言葉は「自然への愛」。春の息吹に乾杯。
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Comments
ご無沙汰ですね。どこかで冬眠されているかと思っていました。
こんなに幻想的な照明が有ったら、僕なら、春の食材をふんだんに使った食事を楽しみたいですな。
先日、近所のリトル・ヴェニスに散歩に行ったおり、満開の木蓮の木を見つけました。鼻をかすめる芳しい香りに、思わず足が止まりました。
Posted by: 守屋 | March 14, 2007 07:56 AM
守屋さん。
海にも山にも春の風が吹いているというのに、
すぐ冬眠しかけるwildlifeには困ったものです。
そちらにも木蓮咲いているのですね。
蕾のついた裸の木は、シルエットが美しく、
巨大なシャンデリアのようですよね。
Posted by: wildwife | March 14, 2007 03:57 PM
木蓮のランプ、優しい明かりですね。
ランプに照らされた花からは良い香りがするのでしょうか?
散る時が潔すぎますよね、木蓮ってそんなイメージなんです。
大きな花びらがポトポト落ちるような。
タイミングよく出されたのでしょうね、ハバのり。
Posted by: きりまま | March 14, 2007 11:57 PM
相変わらず、その発想力、行動力がさすがです。そのアイデアはいったいどこからくるのでしょう?木蓮、コブシ、ハナミズキ、私の好きな木です。ああ、春ですねぇ。
Posted by: 樹美 | March 15, 2007 09:06 AM
きりままさん
香りには気が付きませんでした。
もし素敵な香りがしていたら、はばのりじゃなくて、
ウィスキーでも出していたでしょうか(笑)。
水疱瘡はいかがですか?
連日謝恩会の準備に追われていた私も、いよいよ明日が本番。
樹美さん
枝を拾ってきて一週間。
花が咲き始めるとは思いませんでした。
木蓮の蕾って、シャンデリア球みたいだなぁと思っていたら、
それがふんわりと開いてきたので、本物のランプにしてみたかったのです。
本当に、春ですねぇ。
Posted by: wildwife | March 15, 2007 02:06 PM
素敵!
こんな発想のできるwildwifeさんも、この木蓮の
ランプのあたたかな明かりも、壁に映ったその影さえも。
私もきりままさんのように香りが気になりました。
私も日々木蓮を横目にみながら通っていますが、ちょっと
遠すぎてかおりをかげず。
Posted by: rururu | March 31, 2007 02:35 AM
rururuさん
木蓮、やはりみなさんお好きなんですね。
硬いつぼみは、産毛がびっしりついた暖かいコートを着ていて、
それをはらりと脱ぎ捨て、ゆるりと開いてきます。
切り落とされても、つぼみと枝に強い生命力がみなぎっているのが感じられました。
Posted by: wildwife | April 02, 2007 02:49 AM