月とミモザ
二日酔いの朝は年々つらくなっていく。朝飯が食べられないだけなら、ましな方。酔い覚ましのお茶を飲みながら、昨晩あったことを思い出してみる。あいつと飲んで、気分がよくなって、何軒かはしごをしたっけ。そして、家の前でタクシーを降りて……。ん? どこからタクシーに乗ったの?
いい年をして何をやっているのかとしょっちゅう言われているけれど、まっ、こんなもんでしょ。今こうしている自分が一体どこから来たのかなんて考えるまでもなく、たいていはいるべき場所に戻れるわけだし、これからも多分うまく過ごしていける。でも、そもそも自分はどこから来てどこに行く途中だったのか。そういえば最近は考えることさえない。
同じ仕事をしてきた友人がまもなくやめる。大学時代、初めて会ったときから同業になる予感はしていた。向こうは世界を股に駆けての大仕事。こちらは街ネタ一本やり。考え方もまるで違うけれど、「満足している奴が嫌い」なのは同じ……。だからかな?
うまく過ごしていけるのが、時にたまらなく嫌になる。そんな時、あいつは目をそむけてはいけない何かを見てしまったのだろう。
月とミモザ。まだ骨にしみる寒さの中、花はやけに凛としている。
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