若葉
ハンモックに揺られながら、桜吹雪を眺めていた。標高の高い我が家は今日が桜の盛り。いつも何か得した気分になる。毎年都内で花見のどんちゃんを楽しんでいるけれど、結局、春風と花吹雪の中でぶらぶらしているのが最高なんだよね。となりの坊やはぐっすり昼寝中。
きょうはこれだけで十分とつらつら本を読んでいたら、家人はやっぱりやってきた。「夕食どうするつもり」。「はあ、まだ日本酒はあるよ」と答えれば、「つまみはどうすんのよ、はやく起きて」だって。気配を察知して、坊やもしぶしぶ起き上がった。
行く場所は決まっている。裏山の藪の中。けもの道ならぬママ道をアズマネザサの枝を掻き分け歩いていくと、今年もタラの木(上)は天にまっすぐ伸びている。すぐ横にはハリギリ(中)、ちょっとはなれた日当たりのよい場所にはカラスザンショウ(下)も……。
「はい、タラの芽なんとかしてよね」と家人はとげだらけの木のてっぺんから伸びる芽を指差し、なぜか傘を一本。ふむ、取っ手を木にひっかけて少し曲げてやると、上の斜面から何とかもぎ取れた。もちろん、全部芽をとったら枯れてしまうので、来年の楽しみも残しておく。ハリギリとカラスザンショウはできるだけ若い芽を選んで取れるだけ。
夜、若葉の天麩羅で一杯やりながら考える。いつもほんとに家人の食欲には感心するし、春の若葉の味の良さも文句なしだ。でも……。これがほろ苦さってやつかな。
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