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桜の置き土産

Morel

 八重桜の花びらのそばには収穫らしきものがずらり。さあ、これなんだ。 
 アミガサダケ、フランスではモリーユ(Morel)と呼ばれる高級キノコとか。もちろん、家人がそう言っているだけ。だいたい姿が不気味じゃないか。しかも家の前の桜の藪で、坊やと友達がこの数倍ほど収穫したという。話がうますぎる。きっと毒だ、やめておけ。
 深夜に帰宅して収穫を見せられ小言をひとくさり。もちろん、家人は気にもせず言い切った。「もう坊やと食べちゃったよ。おいしかったよ」。はぁ、あきらめてますよ……
 
 一応、書物を確認するとこれは春が旬のキノコで花が散った桜の根元に出るという。毒のある品種もあるが、見かけがまるで違い素人でもわかるとも。ふむ、大丈夫かな。
 収穫後に干してほぼひと月、相性がよいというバターソテーで試してみた。一口かみ締めるごとに滋味が口中に広がる。歯ごたえはかなり固め。もうすこしやわらかくしてクリームソースとあわせたら、確かに癖になるかも。来年はいろいろなレシピで試してみようか。
 
 それにしても、食べ物に関してはやっぱり女の方が貪欲らしい。一緒に収穫した坊やの友達のママさん2人は家人を信じ切って、収穫したその日に食べてしまったとか。おまけに腹痛に見舞われた一家も。キノコが腐っていたのか、調理が足りなかったのか。それでめげる様子もない??
 その女、無謀につき。皆様、家人の言うことを鵜呑みにしていると、どうなるか知りませんよ。というより、同種の女性が増えることに怖さを感じるのは私だけでしょうか……

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